8月23日、高知市南金田にある蛸蔵にて開催された「Washi + Performing Arts? Project」を見せていただきました。
50人ほど座れる客席が満員になったころ、舞台が始まりました。
和紙をテーマに、5人のパフォーマーたちが順に見せてくれるパフォーマンスは、5人5様の表現があり、その違いに驚きと感動がありました。
その後、パフォーマーによるアフタートークがあり、観客からの質問にパフォーマーひとりひとりが答えるという形式で、「表現したかったもの」として“紙漉き職人のひたむきな姿”、“消費者の意識”や、
“和紙の美しさ”を、逆に「表現しきれなかったこと」として“紙漉きの多くの工程”や、“職人たちの思い”などを語ってくれました。
公演終了後、まだ興奮冷めやらぬなか、代表を務める浜田あゆみさんにお話を伺いました。
パフォーマーたちをどうやって集めたのか尋ねると、お付き合いの長短はあれど、みなさん浜田さんのお知り合いで信頼のおける方々ということで、高知への滞在期間中、ずっと浜田さんのご実家で生活をともにされていたそうです。
浜田さんは、昔から和紙を作る家に生まれ、紙漉きの音や匂い、漉き上がった和紙の優しい色や手触りに囲まれて育ったそうです。
今回の、和紙と舞台芸術を掛け合わせたパフォーマンスも、子どもの頃から慣れ親しんだ伝統の紙漉きにインスピレーションを得たものでした。
浜田さんはこう語ります。
「正直、舞台芸術が和紙を救うとは思っていません。しかし、多くの人に和紙を知ってもらうきっかけ作りなら、舞台芸術を通じて自分にできることだと確信しています。」
今回の公演で、嬉しい手応えも感じているとおっしゃる浜田さん。そして、今回の反省点を踏まえながら、来年再来年と同じメンバーで公演を続けていきたいそうです。
「メンバーを新しくすれば広がりは生まれると思います。けれど、それでは深めることができない。できれば、この活動を和紙パフォーマンスとして日本各地で行えたら嬉しいです。ゆくゆくは海外にも持っていきたいから、そのためには今よりもっと深めていく必要があると感じています。」
小さいころからとても身近に和紙を感じていた浜田さんだからこそ、和紙産業に携わる方々のご苦労も本当によくご存じで、そこに向ける思いは並々ならぬものがあります。
「この事業の継続にあたって、どうやって資金を捻出するかは大きな課題。だからといって、和紙の職人さんたちからお金をもらうことは考えていないし、したくない。貢献するからといって、そこからお金をもらっちゃいけない気がしています。」
来年の構想や、次はどこの舞台に、と考えを巡らせながら、最後に浜田さんがおっしゃいました。
「まだまだ迷走中で、考えなければいけないことはたくさんあります。みんなとアイディアを出し合いながら、試行錯誤しつつ続けていきたいと思います。」